町田康の新作小説『湖畔の愛』
内容紹介
ようこそ、九界湖ホテルへ。ここは笑いと愛のニルバーナ! 龍神が棲むという湖のほとりには、今日も一面、霧が立ちこめて。創業100年を迎えた老舗ホテルの雇われ支配人の新町、フロントの美女あっちゃん、雑用係スカ爺のもとにやってくるのは――。自分もなく他人もなく、生も死もなく、ただ笑いだけがそこにあった。響きわたる話芸に笑い死に寸前! 天変地異を呼びおこす笑劇恋愛小説。
町田康が「笑い」に直球の小説を書いたのだ!
町田康と筒井康隆
町田康と言えば、
デビュー作の『くっすん大黒』を
筒井康隆が絶賛したこと
(筒井康隆が審査員を務めたドゥマゴ文学賞受賞)
で一躍、小説家として脚光を浴びた。
町田康の読書歴は、
図書館に通い「あ行」から順に読んでいった
というエピソードがあるほど膨大なものであるが、
若い頃に熱中したのが筒井康隆の小説だったという。
今回の『湖畔の愛』には、そんな彼が愛した作家・筒井康隆の小説を感じさせる魅力がある。
ここ最近、新刊を立て続けにだしている町田康。
すでに日本文学界の第一人者であるが、
最近では『パンク侍、斬られて候』が映画化されるなど、その勢いは尽きない。
町田康×スラップスティック
『湖畔の愛』の魅力はスラップスティックだ。
スラップスティックとは?
コメディの一種。体を使ったギャグ。「どたばたギャグ」などとも訳される。チャップリンのそれなどが有名。
過去の作品で町田康のスラップスティックを楽しめるのが『くっすん大黒』だ。
内容紹介
三年前、ふと働くのが嫌になって仕事を辞め、毎日酒を飲んでぶらぶらしていたら妻が家を出て行った。誰もいない部屋に転がる不愉快きわまりない金属の大黒、今日こそ捨ててこます―日本にパンクを実在させた町田康が文学の新世紀を切り拓き、作家としても熱狂的な支持を得た鮮烈のデビュー作、待望の文庫化。賞賛と悪罵を浴びた戦慄のデビュー作
大黒様を捨てようとして始まる日常の中の異次元世界。ユーモラスな語り口と奇妙な形で噴出する鬱勃たる感情が話題を呼び、日本文学史に衝撃的に登場した芥川賞作家の処女小説。「河原のアパラ」を併載している。第19回(1997年) 野間文芸新人賞受賞とともに第7回(1997年) Bunkamuraドゥマゴ文学賞受賞。