小説 文学 知識

落語ブーム到来!? 町田康に学ぶ「落語」と「小説」の関係とは? 文章にリズムを生むためには。

投稿日:2017年3月15日 更新日:




今、落語ブームが到来していることをご存知でしょうか。

雲田はるこ『昭和元禄落語心中』が、

若い世代を含め人気を博し、

全世代から落語が見直されているのです。

 

落語と小説は深く結びついています。

現代落語の代表者であった立川談志は、

色川武大(別名 阿佐田哲也)を、

小説家のなかで殆ど唯一敬愛していた。

色川武大として『離婚』『百』『狂人日記』などの純文学小説を残すとともに、

阿佐田哲也の名で『麻雀放浪記』などの大衆小説も手がけた彼。

これは余談であるが、

ナルコレプシー(睡眠障害)という持病をもち、

どこでも急に眠ってしまうことが多かったらしい。

そんな色川武大(別名 阿佐田哲也)をモデルにして書かれたのが、

伊集院静の『いねむり先生』である。

話を元に戻そう。

落語と小説の関係。
小説家の方には

「落語のようなものを書きたい」

という方が多いことはご存知でしょうか。
落語には独特のリズムで、先に進めて行く力がある。

それはよく「音楽のようだ」とも言われる。

小説もまた、「音楽のよう」であることが評価される。

文体やリズムが特徴的な現代小説家として、

真っ先に思い浮かぶのが、町田康である。




『くっすん大黒』で鮮烈なデビューを飾った町田康の小説は、

デビュー当時から「落語のようだ」と言われてきた。

落語には、表現の上での無駄がない。

1人で何人もの人物を演じるが、

例えば、「彼が〜」「〜と言った」と言ったように、

説明する言葉は極力避けられる。
顔の向きなどの動作、口調など、様々な要素で人物を演じ分けるなかで、

言葉で人物を説明してしまうというのは、

落語家の恥なのである。

町田康の小説もまた、無駄のない「話し言葉」で書かれている。

ここでいう「話し言葉」とは、なにも会話文が多い、ということではない。

地の文を含め、全てが話し言葉(のようで)、淀みない流れがあるのだ。

だからこそあの独特なリズムが生じるのである。

つまり、どんどんページをめくりたくなる小説には、

無駄がないのだ。

町田康の小説が面白いのは「落語のよう」だからなのである。

なにもこれは私だけが思っているのではなく、

町田康がデビューした当時から、

あらゆる書評で語られてきたことである。

そして実際、町田康は落語愛好家として知られている。

もう1つ、特筆すべき点は、彼と音楽の関係だ。

パンクロックバンド「INU」のボーカルとして世に出た彼は、

その根本に「音楽」がある。

町田康はかつて、音楽も小説も同じだと発言した。

なるほど彼にとっては、

「音楽」=「小説」=「落語」なのである。

どうやら文章を書く上で、大切なのは、

「無駄をなくす」

ことなのかもしれない。

「無駄をなくす」ことが、

文章にリズムを生むための一番の近道なのであろう。

そしてその手がかりを落語は教えてくれる。




今回はこの辺で。

近いうちに「落語」と関係の深い小説を紹介します。




-小説, 文学, 知識
-, , , , ,

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。

関連記事

私小説をなめてはいかん。劇的におもしろいオススメ私小説を紹介!

私小説とは? 私小説(ししょうせつ、わたくししょうせつ)は、 日本の近代小説に見られた作者が直接に経験したことがらを素材にして書かれた小説。 心境小説と呼ぶこともあるものの、私小説と心境小説は区別され …

現実逃避とは何か?坂口恭平の哲学『現実脱出論』から考えてみる。圧倒的新感覚の講談社現代新書。

坂口恭平『現実脱出論』 帯に書かれた、 「目に見える景色をガラリと変える!」「圧倒的新感覚」という言葉通り、 この本では著者・坂口恭平が「現実」とどう向き合ってきたか、 私たちが「現実」とどう向き合っ …

廃車の活用。旅行ガイドとしても楽しめる廃車本を紹介。

日本の廃車が 東南アジアにでかけると、 日本の車両に出会えることがある。 日本で廃車となった車両は、 海を越え、新しい場所で人々を乗せ続けている。 このことを知ったのは、とある本との出会い。 東南アジ …

志賀直哉『暗夜行路』は恋愛小説ではない。志賀直哉の文体とは?

志賀直哉『暗夜行路』は恋愛小説ではない。 志賀直哉『暗夜行路』は、当時小林秀雄などによって恋愛小説という批評を受けた。 しかしこの小説を単に「恋愛小説」と括ってしまうのは、あまりに勿体無い。 実際、志 …

FX初心者にオススメな会社比較。入門必読参考書ベスト3!副業にしよう。

今、副業が流行っている。 副業。 なんとも魅力的な言葉だ。 現在、副業がブームなのをご存じだろうか。 今、なんと5人に1人が副業をしているという調査もある。 たしかに会社員としての給料だけでは不安な現 …