オススメ品 小説 文学 知識

現実逃避とは何か?坂口恭平の哲学『現実脱出論』から考えてみる。圧倒的新感覚の講談社現代新書。

投稿日:




坂口恭平『現実脱出論』


帯に書かれた、

「目に見える景色をガラリと変える!」「圧倒的新感覚」という言葉通り、

この本では著者・坂口恭平が「現実」とどう向き合ってきたか、

私たちが「現実」とどう向き合っていくべきかが書かれている。

内容紹介

目に映っている現実は、決して唯一無二の世界じゃない!

目で見ることも、手で触れることもできないけれど、
たしかに存在するあの〈懐かしい世界〉へ読者を誘う

ベストセラー『独立国家のつくりかた』で〈社会〉と対峙した坂口恭平が、
今度は私たちの〈無意識〉にダイブする!

 

「現実」とは?

坂口恭平は、本の冒頭で「現実さん」に話しかける。

「現実さん」、あなたのことがわからない、と言う。

現実さんとは、毎日、いや一生付き合うのだから、全ての人間が専門家

であるとすら断言する。

よく、「現実逃避」という言葉が使われる。

しかし著者はこの言葉に警笛を鳴らす。

「現実逃避」と「現実脱出」の違い

現実逃避。

この言葉は、例えば、

「海外旅行をして・・・」

といったような言葉とともに使われる。

しかし、良く考えてほしい。

海外旅行している私が存在しているのも「現実」ではないだろうか。

反語にする必要すらない。

言わずもがなそれもまた現実そのものである。

つまり現実から離れることは出来ていない。逃避できていないのだ。

そう考えると「現実逃避」という言葉のおかしさ、が分かってくる。

著者が提唱するのは、「現実脱出」である。

「見たくない現実を見ずにすませることではない」

と著者は強調する。

むしろ、

「これまで蓋をしたり、存在を体感しているのに現実的ではないと切り捨ててきたことを直視してみる」

ことだと言うのだ。

それは、現実の中にあるもう一つの別の空間の可能性を探ることである。

この本には、そうして現実と向き合うことで、

あらたな現実に入り込む方法が書かれている。

息苦しい現代に、新たな視野を与えてくれる良書である。

ちなみに、

著者である坂口恭平は小説も書いている。

今年発売された『けものになること』はドゥルーズになった主人公により、これまた新しい視点を獲得させられる。

2017年ベスト小説⁉︎ 坂口恭平『けものになること』 まるで音楽。読む麻薬。

これについては別に記事に書いているので参照してほしい。







-オススメ品, 小説, 文学, 知識
-

執筆者:


  1. I absolutely love your blog and find nearly all of your
    post’s to be exactly what I’m looking for. can you offer guest writers to write content to suit your needs?
    I wouldn’t mind producing a post or elaborating on a
    lot of the subjects you write concerning here.
    Again, awesome blog!

comment

メールアドレスが公開されることはありません。

関連記事

不眠症など睡眠の悩みを持つあなたに、西野精治『スタンフォード式 最高の睡眠』がおすすめ。科学的に睡眠の全てをこの一冊で知ることができる。

睡眠の悩み 寝つきが悪い、熟睡できない、朝が辛い・・・ などなど「睡眠」は多く現代人にとって悩み種。 そんな方にオススメしたいのが、この本。 『スタンフォード式 最高の睡眠』 スタンフォード式 最高の …

【日本文学版・人生ベスト小説たち】紙の本を全部捨てようかと思った。でも、どうしても捨てられない本があった。その一部を紹介。

紙の本を捨てる 本を捨てるというのは、考えられないことだった。 けれど、kindleを手にしたこと、引っ越しをすること などが重なり今回思い切って、処分した。 処分の方法は、以前記事に書いているように …

おすすめ2018年最新iQOS(アイコス)互換品。正規品を超える使用感。

アイコス互換品 有害物質を9割以上削減できることや、 臭いが少ないことで人気のアイコス。 そんなアイコスには正規品にも勝る互換品があるのをご存知ですか。 今回は、最新の互換品を紹介します。  geem …

遠藤周作『友を偲ぶ』、三島由紀夫の「政治の芸術家」からICANのノーベル賞受賞と現代政治を考える。

核関連のノーベル平和賞 核関連のノーベル平和賞は1962年のアメリカのライナス・ポーリングから始まり、これまでに多くの受賞歴がある。 今回のICANを含め、その殆どが理念や訴えを評価されての受賞だが、 …

物書きにも役に立つ、ランチェスター戦略とは?『小さな会社の稼ぐ技術』栢野 克己  (著)を読めば、小説・ブログなど、自分だけのものが書ける!

ランチェスター戦略とは? もともとは、軍事戦略における損害量計算から導き出されたもの。 この法則は、第二次世界田大戦中に、主にアメリカ軍が用いて効果を発揮した。 この軍事戦略であったはず「ランチェスタ …