オススメ品 小説 文学 知識

内田樹『修業論』から無敵とは何か、無我の境地とは何かを学ぶ。合気道と哲学の関係性がスッキリ分かるベストセラー光文社新書。

投稿日:2017年6月14日 更新日:




内田樹

1950年東京都生まれ。

東京大学文学部仏文科卒業。

神戸女学院大学文学部総合文化学科教授を2011年に退職。

同年、神戸市に武道と哲学のための学塾「凱風館」を開設。

『私家版・ユダヤ文化論』(文春新書)で第6回小林秀雄賞。

『日本辺境論』(新潮新書)で第3回新書大賞、2011年に第3回伊丹十三賞を受賞。

神戸女学院大学名誉教授。昭和大学理事。日本ユダヤ学会理事。合気道兵庫県連盟理事。

『修業論』

 

◆内容(「BOOK」データベースより)
武道家、研究家、生活人として…40年の稽古を通して形作られた、ウチダ哲学の核心。現代を生きるすべての人へ贈る「修業のすすめ」

修業とはなにか?

「修業」。

目的を達成するための厳しい修練、

といったようなイメージだろうか。

しかし、そのイメージを訂正してくれるのが『修業論』である。

修行とは、学びの一つのあり方だという。


「なんのためにこの稽古をするのか」

「この稽古をするとどんなメリットがあるのか」

など、ゴールを示され取り組むのは、修業ではない。

修業とは、

「目的を見失うこと」

である。

「目的志向」の危険性

修業の目的、ゴールを決めることは、

学びの範囲を狭めてしまう。

当然、学びの範囲が狭ければ、

成果もその範囲内のものになってしまう。

 

「合気道」と「無敵」

この本では、合気道連盟の理事でもある内田樹が、

合気道の観点からも修業を論考している。

キーワードは「無敵」だ。

そもそも「敵」とはなにか?

内田によると、それは、

私のの心身のパフォーマンスを低下させるもの。

では、それを踏まえた上で、

「無敵」とはなにか?

「敵」を定義しているのは「私」である。

「敵だ」と考えると敵になる。

ならば、

無敵となるためには、「敵」を無くせばいい。

と、考えるのなら誰でもできる。

内田の哲学は、ここからが真骨頂となる。
そもそも「敵」を生み出す、

「私」という概念を解体せねばならないと説いていくのだ。

「修業論」、必読である。








-オススメ品, 小説, 文学, 知識
-

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。

関連記事

落語は人間の業の肯定である。立川談志の『五貫裁き』の名言。落語と本。

談志の『五貫裁き』を聴いた。 立川談志プレミアム・ベスト 落語CD集「勘定板」「五貫裁き」 posted with カエレバ 立川談志 日本コロムビア 2008-09-24 Amazon 楽天市場 立 …

仏教から学ぶこと。『般若心経講義』から価値のある「刹那主義」について考察してみた。

 『般若心経講義』は現代人の必読書 今さえ良けりゃいい。 「刹那主義」というと聞こえがいいが、 今さえよければ、という考え方には様々あり、 そこを間違えると、いずれくる「今」は「よく」なくなる。 ある …

蓮實重彦『伯爵夫人』で三島由紀夫賞を受賞。蓮實重彦の必読本『小説から遠く離れて』。

蓮實重彦 蓮實 重彥(はすみ しげひこ、1936年(昭和11年)4月29日 – )は、 東京府生まれのフランス文学者(パリ大学博士)、映画評論家、文芸評論家、編集者、小説家。 第26代東京 …

寺山修司のオススメ本『不思議図書館』から本を読む楽しさと古本の魅力について考える。

寺山修司『不思議図書館』角川文庫 不思議図書館 (角川文庫) posted with ヨメレバ 寺山 修司 角川書店 2005-03-01 売り上げランキング : 202820 Amazon Kind …

第43回 川端康成文学賞受賞!『文字渦』円城塔の必読小説5選。

第43回 川端康成文学賞 川端康成文学賞に、円城塔さんの『文字渦』(「新潮」5月号)が選ばれた。 贈呈式は6月23日ホテルオークラ東京で行われる。 川端康成賞とは? 作家の川端康成を記念して作られた文 …