又吉直樹『劇場』
二作目の『劇場』は、早くもAmazonでベストセラーとなっている。
『火花』からの文学性はそのままに、
「芸人」ではない人々を描き出した本作。
小説家にとって2作目とは、1作目とは違い自分の人生を投影しにくく、
その分、真価が問われると言われている。
そしてこの『劇場』は小説家・又吉直樹の真価を証明するような作品だ。
実際、それを証明するかのように、売れ行きは好調。
5月11日に開催された博品館劇場でのサイン会には、
多くの人が集まり、大盛況だったという。
『劇場』
内容(「BOOK」データベースより)
演劇を通して世界に立ち向かう永田と、その恋人の沙希。夢を抱いてやってきた東京で、ふたりは出会った―。『火花』より先に書き始めていた又吉直樹の作家としての原点にして、書かずにはいられなかった、たったひとつの不器用な恋。夢と現実のはざまにもがきながら、かけがえのない大切な誰かを想う、切なくも胸にせまる恋愛小説。
新潮社は『劇場』の特設ページを設けている。
Special Movieも掲載しており、必見だ。
http://www.shinchosha.co.jp/gekijou/
『劇場』の元になった?『東京百景』
実は『劇場』のルーツになったと思われる文章を、
又吉氏は以前に書いている。
それが載っているのが、『東京百景』だ。
タイトルは言わずもがな太宰治の『富嶽百景』がモチーフである。
『劇場』とともに読んでみると一層楽しめること間違いなし。
『夜を乗り越える』
そんな又吉直樹は「なぜ本を読むのか」についての本も出版している。
芥川賞作家が「文学」について語るとともに、
「創作」についても述べている。
小説家志望の方にとっても必読の書である。
内容(「BOOK」データベースより)
芸人で、芥川賞作家の又吉直樹が、少年期からこれまで読んできた数々の小説を通して、「なぜ本を読むのか」「文学の何がおもしろいのか」「人間とは何か」を考える。また、大ベストセラーとなった芥川賞受賞作『火花』の創作秘話を初公開するとともに、自らの著作についてそれぞれの想いを明かしていく。「負のキャラクター」を演じ続けていた少年が、文学に出会い、助けられ、いかに様々な夜を乗り越え生きてきたかを顧みる、著者初の新書。