『本を読む本』 (講談社学術文庫)
内容(「BOOK」データベースより)
本書は、1940年米国で刊行されて以来、世界各国で翻訳され読みつがれてきた。読むに値する良書とは何か、読書の本来の意味とは何かを考え、知的かつ実際的な読書の技術をわかりやすく解説している。初級読書に始まり、点検読書や分析読書をへて、最終レベルにいたるまでの具体的な方法を示し、読者を積極的な読書へと導く。単なる読書技術にとどまることなく、自らを高めるための最高の手引書。
翻訳は、外山 滋比古。
『思考の整理学』で有名なお茶の水女子大学名誉教授である。
本書の目的
冒頭に、こうある。
「これから本を読みたい人」のための本でもある。つまり、「読む」ことによって知識を得、理解を深め、すぐれた読書家になりたいと思う人のために書かれた本である。
現代においてはマスメディアやインターネットの台頭により、
多くのことを便利に知ることができる時代だ。
しかしながらそうしたものから得る情報・知識と、
読書から得る情報・知識には大きな違いがある。
筆者はこう述べる。
マス・メディアは私たちが物事を理解するという点で、はたして本当に役立っているかといえば、大いに疑問である。
昔に比べて楽に多くのことを知ることができるようになった。
しかしそうした時代の流れが及ぼしたのは、
「自分で考えること」の欠落である。
例えばテレビのニュースでは情報がまとめられており、
パッケージ化されている。
そうしたことで全体をぱっとしることができるようになるが、
その過程で、受け手は頭を使わなくて済んでしまう。
対して、読書は、だ。
読書とは?
読書というと、「受け身」のイメージがあるかもしれない。
しかし著者は「積極的な読書」を推奨し、
その行為は決して受け身ではないという。
こんなたとえがある。
「書き手」はピッチャー。
「読み手」はキャッチャー。
どちらも積極的な活動であることに変わりない。
このたとえでいうと、
ボールに値するのが文章である。
読書は受動的態度で挑むのではなく、
ピッチャーよろしく巧みに捕らえる技術がなければならないのだ。
読書のレベル
読書を有益にするためには、4つの段階(レベル)があるという。
その段階(レベル)とは、
【第1レベル】
初級読書…個々の言葉を識別する段階
【第2レベル】
点検読書…系統立てて拾い読みする段階
【第3レベル】
分析読書…理解を深め、読んで自分の血肉と化す段階。
(この段階から読者には積極的な努力が必要になる。)
【第4レベル】
シントピカル読書…同主題についての本を比較し分析する段階。
まとめ
『本を読む本』には、
上記した各レベルについての詳細が章立てて書かれている。
読書をさらに有益なものにしたい方にとって必読の書である。
最後にフランシス・ベーコンの言葉を引用して、
「まとめ」とさせていただく。