『息の発見』五木寛之&玄侑宗久
内容紹介
生命の維持において、もっとも重要な位置づけとなる「呼吸」。息をすることは生きること。長生きとは長息である。呼吸をコントロールし、身体を活き活きとさせる方法を探る刺激的な問答。ブッダの教えからはじまり、禅が発展させた「息」にまつわるノウハウをふたりの作家が語らう。さまざまな健康法や呼吸法を考察・実践してきた五木寛之の発見とは何か? 健康な生活をおくるためのヒントが、知的かつ大胆な対談のなかに詰まっている!!
まず、五木が考える呼吸とは?
人は誰でも、健康で、心安らかに生きたいと思う。その第一歩が、この吐く息、吸う息である。
冒頭にこんな文章がある。
生きるために呼吸が必要なのは誰でも知っていて、一見当たり前のことのみが書かれた文章だ。
しかし、現代人は、
呼吸の大切さに気付いてないと五木は言う。
そしてそんな私たちに、まず一点、
玄侑との対談の前に注意を促す。
それは、呼吸についての私たちのイメージの訂正だ。
例えば「深呼吸」という言葉でどんな姿を思い浮かべるだろうか。
ほとんどの人が「深く吸うこと」のイメージを強く抱く。
しかし、これまた考えれば当たり前のことだが、
呼吸とは、「吐く」と「吸う」、その両方があって成り立っている。
現代人の多くは、「吸う」ことばかりに気を取られ、
「吐く」ことの重要性を軽視しているのではないか、と五木は言う。
そしてここから対談が始まる。
五木が対談相手に選んだのは、
禅宗のお寺の跡取りとして生まれ、
物心つくかつかないかのうちからお経を唱え、
その息づかいをお体得してきた玄侑宗久氏だ。
玄侑宗久と呼吸法
五木が呼吸法のプロとして対談相手に選んだ玄侑。
彼は、高校生にして、
「風邪を撃退する呼吸法」
や
「(緊張などで)上がったときの即効性のある息の使いかた」
を独自の呼吸法として体得したという。
呼吸の際、意識をどこに集めるかで、
諸症状を改善できるというのだ。
「怒ったとき」の息は人を殺す?
対談のなかで興味深い話がでている。
液体空気とよばれるもののなかに、
人が起こっているときの息を吐くと、
そのなかに栗色の沈殿物ができる。
アメリカのE・R・ゲイツ博士の研究によると、
一時間怒っていた人の息からできた沈殿物の成分は、
80人もの人を殺せる猛毒であることが証明されたというのだ。
もちろん息は吐く人のなかにも循環されており、
「怒り」そのものの有毒性を証明したともいえる。
呼吸法の経典ともいうべきブッダの『安息経』
様々な苦行に励んだすえに、
人が苦しみのない日々を送るためにはどうすべきか、
を考えてブッダがたどり着いたのが息をする方法。
その知恵がつまったのが『安息経』である。
ブッダの教えを一言でいうと、
「呼吸を愛しなさい」ということだ。
私たちが普段意識せずにしている呼吸。
それを意識して変えること、つまり息を発見することの重要性が、