オススメ品 小説 文学 知識

玄侑宗久『ないがままで生きる』書評。臨済宗の僧侶であり『中陰の花』で芥川賞を受賞した著者の創作の極意を垣間見る。『アブラクサスの祭』のキーワードでもある「ないがまま」とは?

投稿日:2017年6月27日 更新日:





玄侑 宗久とは?

玄侑宗久(げんゆう そうきゅう)
昭和31年(1956)、福島県三春町生まれ。

慶應義塾大学文学部中国文学科卒業後、さまざまな仕事を経験。

京都天龍寺専門道場に掛搭。現在、臨済宗妙心寺派福聚寺住職。

僧職のかたわら執筆活動。平成13年『中陰の花』で芥川賞を受賞。


中陰の花 (文春文庫)

中陰の花 (文春文庫)

  • 作者:玄侑 宗久
  • 出版社:文藝春秋
  • 発売日: 2005-01-01

 

平成26年には、東日本大震災を被災者の視点で描いた
『光の山』(新潮社)が芸術選奨文部科学大臣賞受賞している。



 

『ないがままで生きる』

そんな僧侶であり、小説家である玄侑宗久が、

現代人に対する助言を与えてくれるのが『ないがままで生きる』という本である。

ないがままで生きる (SB新書)

ないがままで生きる (SB新書)

  • 作者:玄侑 宗久
  • 出版社:SBクリエイティブ
  • 発売日: 2016-01-07

現代人は、

とかく「分別」「知識」「想定」「秩序」「自己」「目標」などにとらわれがち。

これらにとらわれた現代人の心を6つの「無」の言葉からゆるゆるとほどきます。

この本の手がかりは「無」

・「無分別」― 悟った人の世界はこんなに自由!
・「無為自然」―小賢しい思惑から離れると、身についた性(もちまえ)が豊かに現れる
・「無常」―自分自身も無常。「それはそうだ」を常に突き崩そう
・「無限」―人間に完成はない。一歩を踏み出せば無限の可能性が広がる
・「無我」―全てを受け容れると、人は最も強くなれる
・「無心」― 未来を憂えすぎず、「今」に無心になろう

雑学もたくさん。そもそも「ないがまま」とは?

そもそも「ないがまま」とは何か?

それは「あるがまま」の先をゆく言葉である。

筆者が初めてこの言葉を提唱したのは、

小説『アブラクサスの祭』の中である。

内容紹介

東北の小さな町の寺に勤める僧・浄念は、躁鬱に苦しみつつ薬と酒の力を借りて法要をこなす毎日。不惑間近となったいま、学生時代にのめり込んだバンドへの情熱が心を占める。やっと実現にこぎつけたライブのステージで、強烈な恍惚感とともに降りてきた啓示の正体は……。精神を病みロックに没入する僧が、祝祭の只中で感じた歓喜と安らぎ、心のひそやかな成長を描く芥川賞受賞第一作。

アブラクサスの祭 (新潮文庫)

アブラクサスの祭 (新潮文庫)

  • 作者:玄侑 宗久
  • 出版社:新潮社
  • 発売日: 2005-12-22

この小説は、なにせ、面白い。

スネオヘアー出演で映画化もされましたね。

この小説においてもキーワードである「ないがまま」。

たとえば、こんな会話が書かれている。

「自分がどういう人間か、なんて、あんまり考えなくて もいいのかもね」
「私は誰でもない」
「そうか、・・・あるがままじゃなくて、ないがまま、なんだね」
「ないんだから、初めから変えようもないし、磨きようもないってこと だね」

そんな「ないがまま」という言葉の真意がわかる

禅的指南書ともいうべき『ないがままに生きる』からは、

さまざまな雑学を知ることもできる。

たとえば、

「解」(わかる)という字。

これは、「牛」の「角」を「刀」で切る。

という行為からできた漢字だという。

他にも、禅の歴史、茶道、正坐、お辞儀、『方丈記』、梅桃桜、武道、
「独神」、松尾芭蕉などなど、さまざまなことを知ることができる。

非常に為になる、良書である。








-オススメ品, 小説, 文学, 知識
-,

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。

関連記事

ブックオフの宅本便で古本の買取をお願いしてみたレビュー

ブックオフの宅本便 宅本便とは? 家にいながらにしてブックオフに本を売れるサービス。 手続きはブックオフオンラインに登録し、 集荷にきてもらう日付などを入力するだけ。 申し込み画面はこんな感じだ。 & …

アンリ・ベルクソン『笑い』を読んでみた。ベルクソンとは? 彼が考えた「笑い」とは何か。

アンリ・ベルクソンとは? アンリ=ルイ・ベルクソン(Henri-Louis Bergson、1859年10月18日 – 1941年1月4日) フランスの哲学者。パリ出身。 『時間と自由』や …

新宿サブナードで古本浪漫州開催!

新宿サブナードとは? 新宿駅東口の靖国通りとモア四番街の地下にある地下ショッピングモール。 通称はサブナード。 「古本浪漫州」とは? サブナードで定期的に行われている古本市。 開催期間 : 4月10日 …

映画好き必見!Fire TV Stick がオススメな理由。Amazonを使いこなせ!

Fire TV Stickとは? Amazonビデオなどの映像コンテンツをテレビで観れるようにするためのデバイス。 使用方法は、HDMI端子にスティックを挿すだけ! Fire TV Stick (Ne …

外山滋比古の『思考の整理学』から『知的文章術』まで、必読のオススメ本を紹介!

外山滋比古 とやましげひこ。 お茶の水女子大学名誉教授。 日本の英文学者、言語学者、評論家、エッセイスト。 文学博士である。 全日本家庭教育研究会元総裁。 外山家は法海山龍護院妙光寺の旧檀家。 『思考 …