オススメ品 政治 文学 知識

マクルーハン『メディア論』をメディアに踊らされる現代に再考する。

投稿日:




マーシャル・マクルーハンとは?

Herbert Marshall McLuhan(1911年7月21日 – 1980年12月31日)

カナダ出身の英文学者、文明批評家。メディアに関する理論で知られる。

もともと英文学教授であったが、メディアに関する理論の方が彼を著名にした。

現在、メディア研究と呼ばれる分野において重要位置を占める存在のうちの一人。

 

マクルーハンの『メディア論』

●「メディアはメッセージである」という主張。

普通、メディアとは「媒体」を表すが、その時私たちはメディアによる情報伝達の内容に注目する。しかし、彼はメディアそれ自体がある種のメッセージ(情報、命令のような)を既に含んでいると主張した。例を挙げると、同じニュース内容でもメディアが新聞か放送か週刊誌かネットかで受け止め方が違ってくるということ。

 


 

●メディアは人間の身体の「拡張」であるとの主張。

自動車や自転車は足の拡張、ラジオは耳の拡張であるというように、メディア(媒体)は身体の特定の部分を「拡張」する。しかし、単純に拡張だけが行われるのではなく、「拡張」された必然的帰結として衰退し「切断」を伴う

 


 

その他、

「ホット」と「クール」なメディアという分類や、

グローバルヴィレッジ(地球村)のような分析・視点など、実に様々な理論を展開した。

 

現代とマクルーハンの『メディア論』

天災の後に必ずといっていいほど人災が問題となる。

そしてその人災を招いているのは必ずといっていいほどメディアである。

現代において、メディアはその直訳の「媒体」ではない。

マクルーハンの「メディアはメッセージである」という有名な言葉は、

現代のメディアに翻弄される人々に対する助言とも冷笑ともとれる。

メディアは人間と対象との媒体ではこと足りず、それ自体がメッセージを発し、人はそのメッセージを前に立ち止まり、奥にある対象物へ辿りつかない。

人間と対象物との間にメディアが発するメッセージがマジックミラーのように立ち塞がっている。

人間から対象物は見えず、対象物は踊らされる人間を見て焦燥しているように思える。

ここまでであれば人が現地に足を運べば真実を垣間見ることができる。

しかし、天災を人災に収斂させる現代の巨悪の過程では、更に厄介なことが起こっている。

人・メディア・対象物という構図の「メディア」と「対象物」の間で人間が逆方向に信号を送り始めたのだ。

その結果、

「メディア」と「対象物」の境に靄がかかり、どこに嘘があるのか見分けるのが困難になった。

「(メディアは)人間の身体の拡張」だというマクルーハンの言葉に合わせて言えば、

メディアだけでなく対象物にまで手が伸び、そこまでもが人間の身体の一部であるようにして自由自在に変容させているのが現代の人間とメディアとの関わり方だと言えるのではないか。

本来人の手が加えられるはずのなかったものに手が加えられていくなかで、

私たちは情報を操作する人間がいる位置、即ち、「メディア」と「対象物」の間に身を置いてみなければならない。

そこは虚実が飛び交う混沌とした世界である。

受動的態度で情報を得る時代は終わり、能動的にならなければ、マジックミラーの向こう側の世情を知ることは出来ない。







-オススメ品, 政治, 文学, 知識

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。

関連記事

アイコスの次はコレ!「入手困難なプルームテック」を今すぐに楽しむ秘密の方法。中原中也『わが喫煙』

Ploom TECH プルームテックをご存じですか? アイコスの次に来る新しいタバコ。 まだ福岡でしか販売されておらず、 なかなか手に入らない。 しかしながら、 プルームテックをすぐに楽しめる方法があ …

漫画『昭和元禄落語心中』(著:雲田はるこ)が現代に生まれたワケと歴史

『昭和元禄落語心中』とは? 昭和元禄落語心中(1) (ITANコミックス)[Kindle版] posted with ヨメレバ 雲田はるこ 講談社 2012-09-28 Kindle Amazon[書 …

アメトーーク!読書芸人で紹介された本たち。

アメトーーク!読書芸人 2017年11月16日に、 読書好きには待ち遠しかった アメトーーク!読書芸人が放送された。 今回は番組内で紹介された本を、 ピックアップしていく。 『蜂蜜と遠雷』恩田陸 蜜蜂 …

新しくなったFire HD 8を買ってみた。ダウンロードすべきアプリを紹介。実は小説執筆もできちゃいます。

Fire HD 8が新しくなった iPadよりも圧倒的にコスパがよく、 Amazon中毒の私にとって、これ以上ないタブレット端末。 Fire HD 8 タブレット (8インチHDディスプレイ) (Ne …

玄侑宗久『ないがままで生きる』書評。臨済宗の僧侶であり『中陰の花』で芥川賞を受賞した著者の創作の極意を垣間見る。『アブラクサスの祭』のキーワードでもある「ないがまま」とは?

玄侑 宗久とは? 玄侑宗久(げんゆう そうきゅう) 昭和31年(1956)、福島県三春町生まれ。 慶應義塾大学文学部中国文学科卒業後、さまざまな仕事を経験。 京都天龍寺専門道場に掛搭。現在、臨済宗妙心 …