都築響一とは?
珍スポット、独居老人、地方発ラッパー、
路傍の現代詩、カラオケスナックなどなど
無名の天才を発見し続ける編集者。
『POPEYE』や『BRUTUS』を担当したことも。
そんな彼の近著『圏外編集者』では、
「本をつくるということ」の本質が本音で語られている。
『圏外編集者』
内容紹介
編集に「術」なんてない。
ほかのメディアとはまったく違う視点から、「なんだかわからないけど、気になってしょうがないもの」を追い続ける都築響一が、なぜ、どうやって取材し、本を作ってきたのか。
人の忠告なんて聞かず、自分の好奇心だけで道なき道を歩んできた編集者の言葉。多数決で負ける子たちが、「オトナ」になれないオトナたちが、周回遅れのトップランナーたちが、僕に本をつくらせる。編集を入り口に、「新しいことをしたい」すべてのひとの心を撃つ一冊。
また、帯にはこうある。
「多数決で負ける子たちが、「オトナ」になれないオトナたちが、周回遅れのトップランナーたちが、僕に本をつくらせる。
編集とは?
都築響一は、編集の仕事についたのは成り行きだという。
たまたまバイトで始めた編集(最初は雑用)が、時給から次第に給与に変わっていった、
そんな彼はいつでも「孤独」で、編集に携わってきた。
多くの者と協力しながらつくったものは、ブレを生じさせる。
協力者は時として障害にもなりうる。
会議をしたことのない、彼はこう語る。
つまらない雑誌を生むのは「編集会議」のせいだと思う
その代わり、責任は、成功しようが失敗しようが、全て自分に返ってくる。
通常、雑誌をつくる過程では、アイデアを持ち寄り、会議で企画を決める。
しかしそこにあるのは「アイデア」の潰し合いである。
彼にとって、「会議」=「リスクベッジ」なのだ。
●リスクベッジとは?●
起こりうるリスクの程度を予測して、リスクに対応できる体制を取って備えること。 単にヘッジと呼ぶこともある。 例えば、資産運用において、資産価値が一方的に下落することを最小限に食い止めるために、先物取引を使ってリスクを回避する方法がある。都築はこれを「集団責任回避システム」とも呼んでいる。
それ故、モチベーションも下がってしまう。
彼の信条は「二番煎じでない」ということのなのだろう。
検索できる事柄には魅力を感じず、
ネットやテレビで取り上げられたものには目もくれない。
取材は「おもしろいって分かってる」から行くんじゃない。「おもしろそう」だから行く。
と、都築は語っている。
それではここから、そんな彼の信条が形となった著作を紹介していく。
『TOKYO STYLE』
内容(「BOOK」データベースより)
豪華な写真集や分厚い雑誌に出てくるようなインテリアに、いったい僕らのうちの何人が暮らしているのだろう。でも小さい部屋にごちゃごちゃと気持ち良く暮らしている人間ならたくさん知っている。マスコミが垂れ流す美しき日本空間のイメージで、なにも知らない外国人を騙すのはもうやめにしよう。僕らが実際に住み、生活する本当の「トウキョウ・スタイル」はこんなものだ!話題の名著文庫化。
汚らしく見える部屋も彼の目を通すと、そこに一つの文化が立ち現われてくる。写真が豊富で、そのひとつひとつから、東京の暮らしの本当の姿を感じられる。
『独居老人スタイル』
内容紹介
あえて独居老人でいること。それは老いていくこの国で生きのびるための、きわめて有効なスタイルかもしれない。16人の魅力的な独居老人たちを取材・紹介する。
彼の「自分にとっておもしろいと思うこと」への真摯な取材のスタイルが感じられる。老人がテーマだが、そこから、生き方の手本を知ることができる。
『夜露死苦現代詩』
内容(「BOOK」データベースより)
詩は死んでなんかいない。ストリートという生きた時間が流れる場所で、詩人とは一生呼ばれない人たちが、現代詩だなんてまわりも本人も思ってもいないまま、言葉の直球勝負を挑んでくる…寝たきり老人の独語、死刑囚の俳句、エロサイトのコピー、暴走族の特攻服、エミネムから相田みつをまで。文庫化にあたり谷川俊太郎との対談、作詞家・吉岡治のインタビューを含む長いあとがきを増補。
そこらじゅうに詩人が溢れていることが知れる。それはある意味、誰もが詩人になれる可能性が十分にあるということで、自分のなかの言葉に耳をすませたくなる一冊。
まとめ
都築響一の本を読んでいると、
「自分らしい生き方」を自ら見つけていった人達にたくさん出会うことができる。
そしてそれは、都築自身が、自分らしい生き方をしていった結果だ。
また、芸術が身近に転がっていることにも気付かされる。
都築の本を読みながら彼の目を借りると、
普段見ている街が、とたんに美しいものに見えてくる。