『思考のレッスン』著:竹内薫&茂木健一郎
内容(「BOOK」データベースより)
小学校で落ちこぼれだった薫少年は、筑波大附属高校へ進学して東大の法学部に入学する。だが、物理学の面白さに目覚め、物理学科へ学士入学。そこで盟友・茂木健一郎と出会う。ところが二人とも大学院の試験に失敗し、それぞれの道を歩み始めることに…。一芸に秀でるのではなく多芸であったからこそ、いまの自分たちがある。彼らの発想の原点を赤裸々に語り明かす。凸凹コンビの人生指南。
科学的なものと、そうでないもの
既成概念にとらわれずに、自由な発想をするためには、
科学的なものと、そうでないものの区別をしっかり行う必要があるといいます。
ではまず、科学的なものとは何でしょうか?
ウィーン生まれの科学哲学者カール・ポパーが一言で表しています。
科学とは…「反証できるもの」
そもそも「科学的なの」のでき方を考えれば簡単です。
ある定義を出して、それを検証し、仮説通りにいけば、それは科学となる。
では次に、科学的でないものとは何でしょうか?
『思考のレッスン』のなかで「マイナスイオン」について語られている部分があります。
マイナスイオンは、森のなかの空気や電化製品の機能としてよく使われる言葉です。
しかし「マイナスイオンがからだにいい」と伝聞をして商品を売った会社が、
薬事法違反で罰せられたことをご存じでしょうか。
たしかに、マイナスイオンはからだにいい、と世間的に思われていますが、
それはまだ証明できていないのです。
本の言葉を借りると、「グレーゾーン」。現時点では反証可能性がないのです。
知ることと、信じること
グレーゾーンなものが立証により、科学的なものになる。
「科学的なもの/科学でないもの」の違いは簡単に理解できたと思います。
次に、区別すべきは、「知る/信じる」です。
本のなかでは「宗教」について語られています。
神様はいるか?
これは反証可能ではありません。
しかし信じている人も、信じていないひともいます。
つまりは、世の中のすべてを科学的に理解することはできないのです。
ところが宗教において語られることでも科学的に証明できてしまうものがあります。
例えば、生命の誕生です。
どうすることによって生命は誕生するか。
「生命の誕生」は既に証明され、科学的なものです。
それでも、科学的な定義とは別の次元で生命の誕生を信じている人もいます。
そうゆう人たちのことを無知だと言います。
注意しなくてはならないのは、信じること
グレーゾーンなことであっても、今後科学的になりうる可能性があります。
また、科学的なものでも、実験によって、科学的でないものに逆戻りすることもある。
危険なのは、「そうだ」と決めつけることです。
鵜呑みは思考を停止します。
決めつけずに、0.1パーセントでも可能性があるのであれば、そこで考えてみる必要があるのです。