小説 文学 知識

読むのが遅い悩みに!遅読のすすめ「スロー・リーディングの実践」平野啓一郎 /「フロー・リーディング」とは?

投稿日:2017年5月13日 更新日:





「速読」か「遅読」か

本を読むスピードは、人それぞれだ。

しかし「速読」が優れた読書だというイメージが蔓延っている。

読むことが遅くて悩んでいる、なんて人も少なくなかろう。

たしかに本を早く読むことは時短に繋がる。

ビジネス本や自己啓発本などを読むときは、それでいいかもしれない。

しかし、「文学」に接するときに速読するのは、不適切ではないだろうか。

それは文学者に対する冒涜のような気がするのである。

そしてやはり多くの文学関係者が「遅読」を薦めている。



『本の読み方 スロー・リーディングの実践』

小説家の平野啓一郎氏がその一人だ。

この本によると、著者を含め文学者には遅読の方が多いという。

確かに遅く読むことによって、楽しさが増すだろう。

本では、夏目漱石の「こころ」などを取り上げ、

実践的な「遅読」について語られている。

「本が遅いこと」がコンプレックスの人、文学が好きな人、

には是非読んでみることをおすすめする。

 

『遅読家のための読書術』

それでも、遅読を改善したいという方におすすめなのがこの本。

所謂「速読本」ではなく、

「フロー・リーディング」を提唱している。

 

フロー・リーディングとは?=音楽を聴くように読むこと。

 

「読書の主役は作者ではなく読者。作者様が書いた文章をちゃんと読まなければ、なんて思わなくていい。もっと自分勝手に飛ばしながら読んでいけばいい」

「音楽を聞くとき、一音たりとも逃さず聞くぞ、と意気込む人は居ない。じゃあ何故、読書に限っては、一ページたりとも逃さないぞ、と意気込んでしまうのか。音楽も読書も同じ遊びであり、勉強ではない。もっと気楽に本と向き合え」

こうした言葉が並んでいる。

文学に深く接する為には、「スロー・リーディング」を。

文学に沢山接する為には、「フロー・リーディング」を。

といったところだろうか。

「文学」を楽しむ為には、まず自分の読書習慣を見つめ直してみるのも良いかもしれない。




-小説, 文学, 知識
-

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。

関連記事

小説好きにオススメな「ユリイカ」5選

『ユリイカ』とは? 青土社から出版されている月刊誌。 詩や文学などの批評や、思想についてが中心であり、 小説家や文学愛好家に好まれている。 名前の「ユリイカ」は、見つけたを意味する「Eureka(エウ …

最果タヒ『きみの言い訳は最高の芸術』で詩人の五感に接触する。

詩はよくわからないかもしれない。   よくわからないけれど、 言葉にイメージはあるだろう。 詩を読む時に求められるのは、 「わからない」を肯定することだ。 そうしてただイメージを繋げていく。 …

落語ブーム到来!? 町田康に学ぶ「落語」と「小説」の関係とは? 文章にリズムを生むためには。

今、落語ブームが到来していることをご存知でしょうか。 雲田はるこ『昭和元禄落語心中』が、 若い世代を含め人気を博し、 全世代から落語が見直されているのです。   落語と小説は深く結びついてい …

猫小説の世界文学・平出隆『猫の客』書評。夏目漱石の翻訳家が絶賛する日本の猫小説。

平出隆とは? 平出 隆(ひらいで たかし、1950年11月21日 – )は、日本の詩人、散文家。   大江健三郎は、 「詩の中から新しい散文を生み出す詩人」 と評した。 &nbs …

【夏休み、文学好きにおすすめの宿】川端康成が「伊豆の踊子」を執筆した《川端の宿・湯本館》

川端康成 川端 康成(かわばた やすなり、1899年(明治32年)6月14日 – 1972年(昭和47年)4月16日)は、日本の小説家、文芸評論家。 大正から昭和の戦前・戦後にかけて活躍し …