池澤夏樹とは?
池澤 夏樹(いけざわ なつき、1945年7月7日 – )は、
日本の小説家、詩人。翻訳、書評も手がける。日本芸術院会員。
文明や日本についての考察を基調にした小説や随筆を発表している。
翻訳は、ギリシア現代詩からアメリカ現代小説など幅広く手がけている。
各地へ旅をしたことが大学時代に専攻した物理学と併せて、池澤の作品の特徴。
また、詩が小説に先行していることも、その文章に大きな影響を与えている。
『現代世界の十大小説』
世界の“いま”を、文学が暴き出す
私たちが住む世界が抱える問題とは何か? その病巣はどこにあるのか? そして未来はどこへ向かうのか? これらの疑問に対して、いま小説は、どう答えられるのか――。モームの名エッセイ『世界の十大小説』刊行から60年、池澤夏樹が新たな「世界文学」を擁して激動の現代世界を問い直す。
今回はこの本のなかで、池澤夏樹が選んだ現代世界の十大小説を紹介する。
①ガルシア・マルケス『百年の孤独』
ガブリエル ガルシア=マルケス 新潮社 2006-12
内容(「BOOK」データベースより)
蜃気楼の村マコンド。その草創、隆盛、衰退、ついには廃墟と化すまでのめくるめく百年を通じて、村の開拓者一族ブエンディア家の、一人からまた一人へと受け継がれる運命にあった底なしの孤独は、絶望と野望、苦悶と悦楽、現実と幻想、死と生、すなわち人間であることの葛藤をことごとく呑み尽しながら…。20世紀が生んだ、物語の豊潤な奇蹟。
②アゴタ・クリストフ『悪童日記』
内容(「BOOK」データベースより)
戦争が激しさを増し、双子の「ぼくら」は、小さな町に住むおばあちゃんのもとへ疎開した。その日から、ぼくらの過酷な日々が始まった。人間の醜さや哀しさ、世の不条理―非情な現実を目にするたびに、ぼくらはそれを克明に日記にしるす。戦争が暗い影を落とすなか、ぼくらはしたたかに生き抜いていく。人間の真実をえぐる圧倒的筆力で読書界に感動の嵐を巻き起こした、ハンガリー生まれの女性亡命作家の衝撃の処女作。
③ミルチャ・エリアーデ『マイトレイ』
アルべルト・モラヴィア,ミルチャ・エリアーデ 河出書房新社 2009-05-08
内容紹介
インドの大地に身を委ねた若き技師と下宿先の少女が、タブーを超えて惹かれ合う悦楽の神話と、妻の心変わりを察した男の視点で壊れゆく夫婦の関係を緻密にたどったイタリア文学の傑作。
④ジーン・リース『サルガッソーの広い海』
ヴァージニア・ウルフ,ジーン・リース 河出書房新社 2009-01-17
内容紹介
西インド諸島出身の作家が描くもう一つの「ジェイン・エア」
イギリス紳士と結婚したジャマイカ生まれの女は、なぜ狂ってしまったのか。帝国の辺境に生きた作家が、感傷を排した文体で語り直した「本当の」物語。
⑤ミシェル・トゥルニエ『フライデーあるいは太平洋の冥界』
ミシェル・トゥルニエ,J・M・G・ル・クレジオ 河出書房新社 2009-04-11
内容紹介
ロビンソン・クルーソーとフライデーのもう一つの物語。
南海の孤島で遭難したロビンソンは、島を開拓し、食料の備蓄に努めるが、野生人フライデーの登場によってその秩序は一瞬のうちに崩壊する。文明と野蛮を双子のように描いた哲学小説。
⑥カルロス・フエンテス『老いぼれグリンゴ』
ブルース・チャトウィン,カルロス・フエンテス 河出書房新社 2009-06-11
内容紹介
不毛の大地パタゴニアに漂着した人々の見果てぬ夢を綴ったイギリス紀行文学の傑作と、ラテンアメリカ文学の巨匠が革命下のメキシコを舞台に描く愛と憎しみの物語。虚構と現実が混淆する二つの長篇。
⑦ジョン・アップダイク『クーデタ』
ジョン・アップダイク 河出書房新社 2009-07-11
内容紹介
アフリカの沙漠の国の大統領が、4人の妻と愛人、有能な大臣、アメリカ、ソ連などとの駆け引きの結果、政権から逐われていく。アメリカ化する世界をアフリカの架空の国に投影した傑作長篇。
⑧メアリー・マッカーシー『アメリカの鳥』
メアリー・マッカーシー 河出書房新社 2009-08-11
内容紹介
大ベストセラー『グループ』著者の最高傑作、新訳決定版。ヨーロッパに渡った米国人青年が自身の内なる反米主義に悩んだり自分流の哲学につまずいたりしながら成長を遂げていく姿を描く。
⑨バオ・ニン『戦争の悲しみ』
バオ・ニン,残雪 河出書房新社 2008-08-09
著者について
残雪/1953年、中国生まれ。文革期を思わせる『黄泥街』でデビュー。邦訳作品集に『蒼老たる浮雲』『カッコウが鳴くあの一瞬』『廊下に植えた林檎の木』『突囲表演』、評論に『魂の城 カフカ解読』などがある。; バオ・ニン/1952年、ヴェトナム生まれ。ヴェトナム人民軍に入隊し、各地で戦闘に従事する。91年に本書『戦争の悲しみ』を刊行し、94年、英インディペンデント紙外国小説賞受賞。
⑩石牟礼道子『苦海浄土』
内容(「BOOK」データベースより)
工場廃水の水銀が引き起こした文明の病・水俣病。この地に育った著者は、患者とその家族の苦しみを自らのものとして、壮絶かつ清冽な記録を綴った。本作は、世に出て三十数年を経たいまなお、極限状況にあっても輝きを失わない人間の尊厳を訴えてやまない。末永く読み継がれるべき“いのちの文学”の新装版。
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