小説家・津村記久子
『ポトスライムの舟』で芥川賞。
内容紹介
芥川賞受賞作
29歳、社会人8年目、手取り年収163万円。
こんな生き方、働き方もある。新しい“脱力系”勤労小説
その他、多くの章を受章している小説家・津村記久子。
現在は専業作家となっているが、
2012年まで会社に勤めながら、多くの小説を執筆していた。
その題材は「仕事」に関するものが多い。
実は、彼女自身パワハラを受けたことや、転職経験もあるという。
実際に会社員をされてきた作家による仕事の小説たちは、
『ワーカーズ・ダイジェスト』
内容(「BOOK」データベースより)
32歳は、欲望も希望も薄れていく年だった。けれど、きっと悪いことばかりじゃない。重信:東京の建設会社に勤める。奈加子:大阪のデザイン事務所に勤め、副業でライターの仕事をこなす。偶然出会った2人は、年齢も、苗字も、誕生日まで同じ。肉体的にも精神的にもさまざまな災難がふりかかる32歳の1年間、ふたりは別々に、けれどどこかで繋がりを感じながら生きていく―。頑張るあなたに贈る、遠距離“共感”物語。
『この世にたやすい仕事はない』
内容(「BOOK」データベースより)
「コラーゲンの抽出を見守るような仕事はありますか?」燃え尽き症候群のようになって前職を辞めた30代半ばの女性が、職業安定所でそんなふざけた条件を相談員に出すと、ある、という。そして、どんな仕事にも外からははかりしれない、ちょっと不思議な未知の世界があって―1年で、5つの異なる仕事を、まるで惑星を旅するように巡っていく連作小説。
『アレグリアとは仕事はできない』
内容(「BOOK」データベースより)
「おまえなあ、いいかげんにしろよ!」と叫びたくなるほどの性悪女、アレグリア。男に媚ばかり売って、すぐ疲れたと言っては休み、ふて腐れて動かなくなる。ミノベの怒りはとどまるところを知らないのだが、まわりの反応はいまひとつ。コピー機に文句を言ってもねえ、と先輩は言うが…。表題作に、地下鉄で繰り広げられる心理戦を描く「地下鉄の叙事詩」を併録。
『とにかくうちに帰ります』
内容(「BOOK」データベースより)
うちに帰りたい。切ないぐらいに、恋をするように、うちに帰りたい―。職場のおじさんに文房具を返してもらえない時。微妙な成績のフィギュアスケート選手を応援する時。そして、豪雨で交通手段を失った日、長い長い橋をわたって家に向かう時。それぞれの瞬間がはらむ悲哀と矜持、小さなぶつかり合いと結びつきを丹念に綴って、働き・悩み・歩き続ける人の共感を呼びさます六篇。
『カソウスキの行方』
内容(「BOOK」データベースより)
不倫バカップルのせいで、郊外の倉庫に左遷されたイリエ。28歳、独身、彼氏なし。やりきれない毎日から逃れるため、同僚の森川を好きになったと仮定してみる。でも本当は、恋愛がしたいわけじゃない。強がっているわけでもない。奇妙な「仮想好き」が迎える結末は―。芥川賞作家が贈る、恋愛“しない”小説。
津村記久子の魅力
ぱっと挙げてみても、これだけ仕事関係の小説が思い浮かぶ。
そんな作家は他にはなかなかいない。
会社員の経験を、会社員の視点から描く。
会社で働いたことのある人なら、だれもが共感することが
どの小説の中にも潜んでいる。
どれも「仕事小説」と呼んでいいはずなのに、小説ごとに、読後感が違う。
その文章は、簡潔、軽妙。こだわりがないようで、こだわっている。
『とにかくうちに帰ります』の解説のなかで、
小説家・西加奈子は「津村記久子のセンスって、どないなことになっているのだろう」と書いている。
普段周りに起きているけれども、見落としているもの。
そうしたものを一つ一つ丁寧に拾い上げ、小説という形にしていく。
津村記久子の小説を読んでいると、